中に生かそうとしている。――ブルジョア婦人雑誌が一見実に陳腐でありながらしかも永年の間婦人大衆をとらえつづけている種々な編輯上の技術、目のつけどころというようなものまで『働く婦人』は、それを奪って逆用すべき敵の武器として研究しようとする積極性を示しているのである。
然し『働く婦人』創刊号「発刊の辞」に書かれているブルジョア婦人雑誌に対する態度は、プロレタリア文化の尖鋭な伝播者・組織者としてのわれわれの刊行物と、ブルジョア文化攻勢の具体化としての婦人雑誌との相互的関係を、十分弁証法的に、レーニン主義的に把握しているとはいえぬ。「発刊の言葉」の中で、「ほんとの自分たちの日常生活の友となり、役に立つ知識と勇気と楽しみとを与えて呉れる婦人雑誌」としての『働く婦人』に対してさながら固定的な対立関係にあるもののようにブルジョア婦人雑誌というものの存在が示されている。同時にあるところではブルジョア婦人雑誌の記事は同じ減俸について書くにしても、減俸された世帯をどうやりくるかという末のことばかりを書くが、『働く婦人』では何故減俸が起ったかという根本のところまでを示すものだと、まるでブルジョア婦人雑誌と
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