く夫人たちが、今日の登場をしていることは、実に注目に価するのである。
従来の文学が大衆の生活から游離していることが問題となっている一方に、今日は文学における顕著な貴族主義がある。貴族主義的男の作家、評論家もあるが、昨今出場して来る婦人作家に一貫した特徴としてこの事が際立っているのである。知識階級の婦人、サラリーマンの妻娘たちの生活、一般の女の経済生活は浴衣一枚の実際から切りつまって来ている。その半面に現れている婦人作家たちの貴族趣味は、何と考えられるべきなのであろう。[#地付き]〔一九三七年六月〕
底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社
1979(昭和54)年7月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第九巻」河出書房
1952(昭和27)年8月発行
初出:「日本学芸新聞」
1937(昭和12)年6月10日号
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年5月26日作成
青空文庫作成ファイル:
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