んとする者は、グングン成長を遂げつつあります。革命前から活動していた女流作家でシャギニャーンと云う人は、水力電気発電所に取材した小説を書いてレーニン賞を得ました。又もとのブルジョア作家も社会的に働き出して、男と同じ大きな取材にもドシドシ取り組んでいます。
 要するに婦人作家の「不振」もその属する階級と密接に結びついているので、階級を離れて女性一般を論じて真相はつかめません。そして歴史の発展を担う進歩的階級――即ち今日ではプロレタリア階級の側に立って、社会を正しくする仕事に協力するのでなければ婦人作家も正しい発展を期することは出来ません。
 知識を合理的に発達させる社会、情操を自由に伸びさせる社会、それは社会主義組織の社会です。そして婦人の幸福は社会主義社会に於てのみ生れます。
 このことは文学に就いても同じです。プロレタリア文学の正しい発展は、歴史的発展と共に有り、社会主義社会に於て最も美わしい精華を持つでしょう。国際性もその時にこそ充分に発揮することが出来ます。
 一見全く個人的の事件と見える我々のいろいろの生活、例えば恋愛の葛藤なども、その拠ってくる所は社会組織にあることを理解する世界観、即ちこの世界を正確に核心にふれて理解しようとするプロレタリア世界観の上に立って、社会発展の運動に協力する時に、すぐれた文学は生れ、婦人作家の発展も期待されるのです。[#地付き]〔一九三三年七月〕



底本:「宮本百合子全集 第十巻」新日本出版社
   1980(昭和55)年12月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
初出:「週刊婦女新聞」
   1933(昭和8)年7月23日号「談話リレー」
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年1月16日作成
青空文庫作成ファイル:
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