人民の重大な苦悩や努力をそのかいどり[#「かいどり」に傍点]の大きい裾でかくすように、そのふりそで[#「ふりそで」に傍点]で人目をまどわすようにされていることは、わたしたちにたえがたい思いをおこさせる。数百万の戦争未亡人・孤児の生涯は見殺しながら、三月八日の婦人デーはごまかして、三月は日本の[#「日本の」に傍点]雛祭り、とお客さまにお目にかける態度の卑屈さをいきどおり赤面しない婦人たちがあるだろうか。メーデーには棍棒隊をくり出させて、端午は日本の[#「日本の」に傍点]男の節句と他方を向いて色刷写真を輸出させる日本の権力を恥多いものと感じない労働者があるだろうか。ことしの三月八日こそは、日本の人民にとって特別意義がふかい。日本と世界の平和確保のための全面講和を求める女性の声々のわきたつ日となるであろう。
底本:「宮本百合子全集 第十五巻」新日本出版社
1980(昭和55)年5月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十二巻」河出書房
1952(昭和27)年1月発行
初出:「宮本百合子」岩崎書店
1951(昭和26)年5月発行
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年6月4日作成
青空文庫作成ファイル:
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