文学と生活
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)人間性《ヒューマニティ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)小説を書こうとするほどの人ならば[#「小説を書こうとするほどの人ならば」に傍点]
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この講座でわたしの受けもちは「文学と生活」である。この課題は、考えれば考えるほど複雑で規模が大きい。どこからまとめていいかわからないような心持さえする。すべての文学は生活から生れ、生活のうちにかえってそこに生きついてゆく。生活と文学のこの関係は万葉集の時代から今日までつづいている。だから歴史的にみてくると、文学と生活はとりもなおさず階級社会とその文学史のようなものになりかねない。ところでその社会と文学との関係については第二巻で蔵原惟人が「文学と世界観」を書いているし、第四巻では近藤忠義が「日本の古典」を書いている。また同じ第四巻にはいろいろの角度から日本の文学、プロレタリア文学の歴史がとりあげられることになっている。広い意味でいえば、これらの題目はみんな文学と生活の関係を語るものである。
では、わたしはどういうことから話
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