と何かがころがる音がした。
「昭ちゃん!」
思わず怒ったつや子の声になった。
「どうして、お前、そう云うことをきかんの?」
お父ちゃんに云いつけますよ、とおきまりに結んで来たとしか思えない言葉じりを、つや子はそのまま途切れさせた。溜息でもついている風であった。やがて、気力も張りもない、すてたような調子で、
「母さんはもうしらん」
つまらなそうに歩いてどこかへゆく跫音《あしおと》がした。そのまま台所はひっそりした。あとには昭夫が一人で、すきなだけ板じきをちらかして、はったい粉をたべているのだろう。
上目づかいの癖がある小さい昭夫は、食事のときも、
「くわん」
そう云ったきり、一旦とりあげた箸を粗暴に食卓の上に投げ出した。
「どうで! 昼もようたべんと」
登代が気づかって、顔色のよくない、きょときょとした昭夫を見た。
「治郎ちゃんを見い。ようたべちょる。さあ兄ちゃんじゃけ、昭夫もお行儀ようにせにゃ、東京のおばちゃんが、もうお土産もって来てやらんといの」
昭夫は、ひろ子を見あげて、にやっと笑った。
「さあ、お汁かけて。ほん、美味《うま》そうなじゃあろが」
昭夫は、自分の前に豆
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