の云いをした。
「全く、ばかみたいなもんでしたなあ、私なんか、ちょいとした工場をやっていただけなんですが、それで一年も経たないうちに、小三十万儲けたんだから。――ばかみたいなもんでした」
白絹はちっとも皮肉でなくそうくりかえした。
ひろ子の前にいた、これも朝鮮の男が、そのときこわばった胸をひらくように反らして、外を見上げ、ひょいと線路わきの砂利の上へおりた。
途端にガタンとひどい揺れかたをして汽車がすこし動き出した。幾つもの声があわてて、早く乗れ、という意味だろう、朝鮮語でわめいた。とびついて、その男がのりこむと一緒に、汽車は又ゆすぶれて止って、もう動かなくなった。まわりのものが笑った。
そのとき、隣の車室の薄ぐらい陽気な混雑の中から、少女の澄みとおった一つの声が、突然アリランの歌をうたい出した。
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アリラーン
アリラーン
アリラーン 越えてゆく…………
[#ここで字下げ終わり]
メロディーをゆったりと、そのメロディーにつれて体のゆれているのも目に浮ぶような我を忘れてうちこんだ声の調子でうたい出した。それにかかわりなく男女の話声は沸騰していて、間に
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