自分が一つよろける毎に、や、すみません、と口に出した。この人は干パンを弁当として食べている。
この傷痍軍人と「教・総」とは真向いであった。京大の農学部を卒業して、九州の鉱山統制会社に勤めているという壮年の片脚を失った人は、パンをかじりながら、快活に北支で負傷した当時のことや、陸軍病院一ヵ年半の生活、終戦以後の滅茶滅茶ぶりを話した。
「看護兵なんか、何も知っちゃいないんです。だから自分たちは、オイ、ヨーチン、ヨーチンてってからかったもんです」
そう云って笑いながら、ワールド・カーレント・ニュースという英字雑誌の巻いたので丈夫な方の腿をたたいた。
「いや、どうか自信をもって生きて下さい。脚の片方ぐらいなくたって、人間は幸福になれるんだという信念で、明るく生きて下さい。決して卑下するんじゃありません。わたしもこの年までいろいろな経験をして来たが、これだけはお願いしておきます」
そう、白絹のシャツが改って云った。
「奥さんに対してなおってもね、ひがむことは禁物です。あなたがそれに負けはじめたら、万事休しますよ。奥さんにはもちこたえられなくなります。これも経験ですが」
それを云うのは、「
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