のときの感情は生涯忘れないだろう。
八月。マクシム・ゴーリキイの伝記を書きはじめた。熱中して三分の一ほど書いたが、健康がつづかず中断した。
一九三二年から四年間、たびたびものの書けない状態におかれたことは、私に啓蒙的な文筆活動を文学的にたかめてゆく機会となった。書けない間、自分の書いたもの人の書いたもの、文学というものなどについて自然、深く考えるようになったから。――集中して仕事をするために弟の家族と生活することの不自然を感じて、十二月下旬、目白に引越すことにした。
    執筆
五月。わが父。
七月。芸術が必要とする科学。
マクシム・ゴーリキイの発展の特質。(文芸評論)、逝けるゴーリキイ。(文芸評論)、ゴーリキイの描く婦人。(文芸評論)
九月。作品のテーマと人生のテーマ。(文芸評論)
十月の文芸時評
十月。「或る女」についてのノート。(文芸評論)
十一月。自然描写における社会性。(文芸時評)、暮の街(社会時評)
十二月。未開の花。(社会時評)、含蓄ある歳月。(作家論)
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一九三七年(昭和十二年)
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この年七月、蘆溝橋事件を挑発のモメント
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