ルザックに対する評価。
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一九三五年(昭和十年)
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〔前年十一〕月。淀橋区上落合の家に引越した。〔同十二月初〕旬、夕刊で宮本が市ヶ谷刑務所に送られたことを知った。大急ぎで綿入を縫って面会差入れした。一年の警察生活で宮本は白紙のまま起訴された。一週間に一遍ずつ市ヶ谷に面会にゆくことが日課になった。宮本がともかく警察で殺されないで市ヶ谷に行ったということは私を大変安心させた。小説の書ける気持になった。小説「乳房」を中央公論に発表した。(〔四〕月)この小説は後にソヴェトで革命文学の文集に集録された。
五月〔中〕旬、前年の母の死によって中絶した取調べの続きだといって淀橋署に検挙された。
十月。「日本共産党の外郭団体であるプロレタリア作家同盟の活動に従事し、共産主義を宣伝した」という理由によって起訴された。市ヶ谷刑務所におくられた。
執筆
この時、評論集『冬を越す蕾』が入獄中に出版された。
一月。「バルザックから何を学ぶか」を『古典の再認識』のために執筆。作家は何でも書けばそれが現実を反映するというリアリズム論への反駁として。
一月。不満と
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