ヴェトではプロレタリアの作家同盟が解散され、同伴者作家、農民作家等のグループを広汎に統一した全ソ作家同盟が組織された。そして社会主義的リアリズムの創作方法が提唱された。日本ではこの社会主義的リアリズムの創作方法に対する解釈を、全く芸術における階級性の抹殺という方向で行った。そして日本のプロレタリア文化、文学運動の「政治主義」を批判する口実とした。
社会主義的リアリズムのこのように歪曲された解釈は、一般にさまざまな形でのリアリズム論争をまき起した。武田麟太郎の風俗描写的リアリズムをそのはじめとして。――すべてのリアリズム論争の特徴は、階級性の抹殺であった。佐多稲子、江口渙、私等は以上のような「自己批判」に納得できず、作家同盟の常任委員会で常に当時の書記長その他の見解に不一致であった。しかし理論的に未熟であり、運動に経験のないために客観的には明瞭に誤っている結論に従うほかなかった。
    執筆
一月。一連の非プロレタリア的作品。
八月。「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」小説「小祝の一家」(文芸)
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一九三四年(昭和九年)
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一月。中旬に麹
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