れいに解決することはあり得ない、と。互いにものわかりよく、手ぎれいに解決されるくらいなら、はじめからそんなに衝突しないですむだけの互いの理解がある筈なのだから。伸子は、離婚などということだって、いわば一つの暴力的なことだと思った。そういう意味で自分が暴力的だったのが、わるかったと思っているだろうか。伸子は、それは避けがたかったこととして、その道を通じて生活の展開の可能がつくられたという意味で、自分のしたことを否定していなかった。やましく感じる気持はなかった。
伸子は、自分のその実感を、保の問題にあてはめた。
「わたしには、いろいろなことがわからないけれどね、いい方法って……保さんのいい[#「いい」に傍点]っていうのはどういうのさ」
「絶対に正しい方法」
伸子は、また新しい不安を覚えた。保は、どうして、いつも、そして何についてでも、絶対ばかりをいうのだろう。
「絶対に正しい、いい方法なんて――」
困ったように、確信なさそうに、伸子は横目になりながらつぶやいた。
「いつでも、何にでも絶対にいいなんて、そんな方法ある?」
ユーモラスな気になって伸子は、
「薬の広告じゃあるまいし……」
といった。
「保さんの、さっきの、どの議論もそれとしては理窟をもっているっていうのと、いまの絶対にいい方法でなければいけないっていうのと、ちょっとみると反対みたいだけれど、同じなのね、保さんの考えかたって――わからない」
ものごとを考えるというと、具体的にそこにある問題からはなれてなんでも抽象してしまう保の方法をそれが執拗であるだけに伸子は不安に感じた。
「保さん、そういう話、越智さんとしたことがあるの?」
「すこしある」
「なんてってた?」
「――僕の考えかたは、純粋だっていっていた」
「…………」
純粋! 何ていいかげんのにげことばだろう! 伸子は越智に対して、いつも湧く忿懣《ふんまん》を新たに感じた。越智は、青年たちが自分たちの生の問題としてそういう議論にも熱中するその真情がつかめるような人物ではない。現代の青年はそういう議論をする、ということだけを問題にする能力しか持っていやしない。伸子はくやしそうに、
「越智さんなんかいいかげんに卒業してしまわなくちゃ駄目じゃないの、保さん」
といった。伸子は自分の生活態度を、破壊のための破壊をこのむものだといって、多計代に一つの偏見を
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