うとした。「不在地主」「沼尻村」などは、農民の解放はプロレタリアートの闘争との結合なしには実現されないこと、社会ファシストの偽瞞と闘うことなしに農民の革命力は正しく発展し得ないことを示した。「工場細胞」「オルグ」は、大衆のうちにあって活動する前衛を日常闘争を通して描き、プロレタリアートの党の大衆化が試みられている。個々の作品を厳密に批判すれば、種々不足としてあげられる諸点はあるが、同志小林が、たゆまず倦まず、日本におけるプロレタリア運動のレーニン的発展過程に照応し、正しい革命的理論を創作活動のうちに生かそうとしつづけた高邁な努力は、プロレタリア作家の典型である。
 同志小林こそ最もよく、「文学の仕事は組織的、計画的、統一的な」(レーニン)社会主義建設のための事業の一構成部分とならなければならないことを会得し、その実現のために献身したプロレタリア作家であった。文学におけるレーニン的党派性の貫徹を、真のボルシェヴィク作家にふさわしく熱情と世界観によって、実践した。
 彼を知るものを常に驚歎させた同志小林の不断の創造的エネルギーの源泉は、実にプロレタリアートの革命的エネルギーそのものの中にあ
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