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「根のしっかりした草が風に吹かれる」様でありたいものです。
[#ここで字下げ終わり]
 私は決してまるで動かない木偶《でく》の様な人間になる位なら死んだ方が増しだと云う程に感じて居るけれ共又、仕切[#「仕切」に「(ママ)」の注記]りなしに動かされて居る事は何だか不安でもあるのです。
 動くにしても私は深さに動かされ度い。
 足元が定まらない様に前後左右にフラフラとよろけて居る様な事を感じる事のあるのは真に情ない感じがしないでは居られません。
 どうぞして、深みに動く人間になり度いものです。



底本:「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年12月25日初版
   1986(昭和61)年3月20日第5刷
初出:「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年12月25日初版
入力:柴田卓治
校正:土屋隆
2009年1月29日作成
青空文庫作成ファイル:
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