らの若い人々の運命がきびしくなろうとするとき却って若い人々をおどらす太鼓が鳴ったのを思いおこしました。
 どっさりの方がそうでしたろうと思います。
 ここにわたしたちの生活に即した考えのいとぐちがあり政府が奨励する町の踊りについての民衆の声《判断》があったわけです。みんなが考えたことをみんなが表現する自信さえもったら、社会の進歩のための輿論は活発になります。私たち自身の豊富さもまします。
 題もつかないたった数言の考え、それを私たちは大切にしたいと思います。考えるということをむずかしくいかめしくとり扱わず、私たちが生きているからには考えずにいることはないという、考えて黙っているわけもないというあたり前のことに扱いなれたいと思います。そして、すべての人は案外鋭くものを考えているものだということを互に信用したいと思います。
 いい考えは、むずかしい本をよんでいるときに浮ぶのではなくて、真面目にものをうけとる心さえあればいい音楽をきいていて、十分深い思慮を扶けられるものであり、ユーモアは、社会批判であることを知りたいと思います。
 そして、私たちの考える能力をこれまでのかたくるしい修養修養という型からの〔数字分破損〕自発的な一日の計画に敬意をはらって日本のラジオも、民衆のエイチに信頼し立派な音楽でも送ってゆくようになりたいものだと思います。
[#地付き]〔一九四六年九月〕



底本:「宮本百合子全集 第十七巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年3月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
初出:NHKラジオの原稿
   1946(昭和21)年9月13日放送
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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