りとなるものが消され、破られない程度までは。従って生活、人格の発育と云うことを、実際的にも抽象的にも、経験によって居ります。私の裡には、或る程度まで何でも感じて見たく、知って見たい未開人のような好奇心、よい場合には探求心がありますのです。面白いでしょう。私共の日常生活が、形式内容の上に違っているとすれば、それ等は皆、若し私の推察が誤っていなければ、異った二種の人生に対する impulse? によるものとも思えます。(中略)
 あの脚本は、私に智的にも、感情の上にもいろいろの閃きを与えて呉れたと云うことで、ほんとうに御礼を申します。又いずれゆっくりお目にかかりましょう。若し、私があの御本をとおして考えた貴女と云うものに大きな間違いでもしていたら、どうぞ御教え下さいませ。
[#地付き]〔一九二三年一月〕



底本:「宮本百合子全集 第十七巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年3月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
初出:「アルス出版月報」
   1923(大正12)年1月号
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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