員に対して抱けないのである。これが、政治の職業人でない国民の本心だと思う。
 全き沈黙を条件としてベンチに並んでいる傍聴人とああいう騒々しい彌次満々の議員席と、その間どこか距離をもって行われてゆく議事の進行とを一つにして今日の心に感じとると、その感想にはなかなか小器用な一つらなりの彌次をもっては表現しきれない質と量とがあると感じられた。
[#地付き]〔一九四〇年二月〕



底本:「宮本百合子全集 第十七巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年3月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十五巻」河出書房
   1953(昭和28)年1月発行
初出:「週刊朝日」
   1940(昭和15)年2月18日号
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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