新年号の『文学評論』その他
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)全的人間性[#「全的人間性」に傍点]の
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内外の複雑な関係によってプロレタリア作家が組織を解体してから、ほぼ一ヵ年が経過した。その困難な期間に発刊されたさまざまの文化・文学雑誌は、編輯同人のグループはそれぞれに別個だし、編輯方針の細部でもそれぞれのある独自性を発揮しつつ、たとえば『文学評論』はすでに第二巻に進み、綜合的な文化雑誌『文化集団』はこの一月第三巻第一号までを発行し、各々意義深い功績をあげている。
このことからある人々の考えるように、雑誌を中心として広汎な意味でのプロレタリア作家たちが一城一廓をかまえ群雄割拠する状態と固定させて見るのは正当を欠く観察であろうと思われる。目下は、旧「ナルプ」時代に欠けていた発表場面の自主的な開発、あるいは文学的技術の鍛錬、よりひろい範囲で文学の創造的エネルギーを進歩的な方向において、包括しようとする活動などがそれぞれの刊行物を中心として活溌に行われているわけである。刊行物を中心とするグループも
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