ど精密に加工されるから」「飽きることを知らない農村の女子が農業精神で」その精密加工に成功し「農村の子女が最も適当しているというのである」としているのである。
フォードが一品一工場としたやりかたで生産工程の組織では全国的にフォード化し分業化しつつ、しかも、村を決してその工業を専門とする工村にはせず、飽くまで副業にとどめて、古来のままの農業精神を主とし、農村全体としての文化の水準などはあるがままの上に農魂商才で行こうとするところに特色をもっている。大河内氏は日本の農業精神を土に親しみ、郷土を愛し、奉公の念に満ちているものと内容づけておられるのである。
つい先頃までは、鶏小舎であったところが一寸手を入れられて、副業的作業場となり、村から苦情の出るような賃銀をとって、重工業に参加する村の娘の若い姿は、いかにも工業動員の光景である。村の娘たちは、新しい自分の力にも目ざめてゆくであろう。不況な農村のありあまった労力が現金にかえられるところに、親のよろこびもあるであろう。
けれども、作業場といえば、おのずから採光や換気のことも考えられる。日本が世界第一の結核国であり、若い女の死亡率が最高である
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