見れば、男六一・三に対して一七・七が女という割合なのである。
フランスとドイツとの婦人たちが、欧州戦争であのように甚大な家庭の破壊を蒙った後、あらゆる部門に進出して一家の生活と社会の生産とのために働かなければならなくなっていることは、説明を要しない。
日本では、さらに工場労働者数の男女別で見ると、女子労働者が男の労働者の数を凌駕している。昭和四年においてさえ男工一〇〇に対して女工の数は一一五・七を示し、大部分が繊維工業に分布されている。これは、日本が近代工業国として持っている歴史的な独特性である。故細井和喜蔵氏によって著わされた「女工哀史」はそういう特性をもった日本の若い無抵抗な労働婦人が、ある時代に経なければならなかった生活記録として、世界的な意味をもつ古典なのである。
今日の生産拡充の要求は、これまでならばオフィス・ガールになったであろう若い婦人たちを生産面での活動に迎えると同時に、もとならば、紡績工場へ年期の前借で売られて行った村の娘たちを、機械工業に吸収して「旬日ならずして熟練工化せんとする」方向にあらわれて来ている。
ヴィタミンABCでなじみぶかい理研のコンツェルンは
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