ければ、日本の青年は政治的無関心に陥いるしかないといっている点など、こんにちの日本のブルジョア思想家の害悪をみないわけにはゆきません。こんにちの青年および一般の人々の感情は、小泉氏のいっているようなものばかりではない。ファシズムに反対するという共通の線でむすばれ、民族とその自主的文化のためにともに闘わなければならないという自覚でむすばれている人々がどんなにふえてきているか。このことは過日の非日委員会法に反対して、いわゆる政治的でない二十七名の教授連が声明書を出したことでもはっきり示されています。その人たちは、市民的自由、学問と言論と思想の自由をファシズムから守るためにはあえて支配権力の政治に対抗する政治力を発揮しました。これは大学法案反対の場合にも見られたことです。自由を守り、ファシズムと奴隷教育に反対する意志の表現は、誰にとっても基本的人権の問題だし、われわれが税を払って政府を養っている以上それと全くひとしい権利を保証された社会的行動の一つです。
 文学者がファシズムに反対し、戦争挑発に反対して現実的に行動する必要にめざめていることは、「知識人の会」の組織されたことをみても分るし、「
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