生が有害な制度の犠牲になるのを防ぐために、と職業安定法、労働基準法などの箇条を説明していられます。どのような職業につく人にもあてはまる――つまりことしから就職なさるみなさまのなかのある人々にもあてはまることとして。――
この場合、勤労という実際問題について正しく理解し考える必要が示されています。ほんとにわたしはなにも考えずにただ家の中で働いて来たばっかりだよ、という母の歎息を、若い世代がくりかえしたいと思っていないならば、そして、時間がなくて、ものを考えるどころじゃないわよ、というこんにちの若い主婦の苦悩をくりかえしたくないのならば、若い世代は自分で自分の運命の主人になって働ける道を発見しなくてはなりません。人生の風波の間に、自分という可愛い小舟をホンローさせず、人間、女として自身の進路を見出してゆかなければならないと思います。
どうか皆さま、お元気に。よろこびが、あなたの前途にみちているように。苦しみと悲しみがあなたを囲んだとき、涙の浮ぶ瞳ながらやはり太陽はその涙にきらめいているように。人間の美こそ、女性の美の最高のものです。[#地付き]〔一九四八年四月〕
底本:「宮本百合子全集 第十五巻」新日本出版社
1980(昭和55)年5月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十二巻」河出書房
1952(昭和27)年1月発行
初出:「新しい卒業生のための集会」(婦人民主クラブ・民主保育連盟共催)へのメッセージ
1948(昭和23)年3月30日開催
「婦人民主新聞」
1948(昭和23)年4月8、15日号
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年6月4日作成
青空文庫作成ファイル:
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