い関係を変更するために立ちました。中国の人々が、日本その他の国の帝国主義を排除して中華人民共和国となったばかりではありません。耐えがたい隷属の生活であればこそ、世界平和と民族の自立の要求は、アジア各民族の婦人たちの精神にはげしくもえたって、マライには七千人の婦人たちによる統一戦線がつくられました。ビルマでは一九四六年に全ビルマ婦人会議が組織されました。ここには四万人の婦人たちが参加しています。印度では一九四六年に、民族解放のゲリラ隊によってテレンガン地方の五百万人の人口をふくむ二千五百の村々が解放され、はじめて民主的な人民の生活とはどういうものであるかを学びました。印度の婦人たちは、こんにち心から夫や息子と肩をならべて、人民の幸福のために活動しはじめました。
アジア婦人会議に出席する日本の代表たちは、他の諸国の代表の誰よりも、まじめで重大な使命を負っています。なぜならば、機会ある毎にアジア民族の解放を妨げることしかしてこなかった日本の帝国主義は、こんにちでも決してその根拠と、協力する勢力を失っておらず、現在ではますます日本の民主化とポツダム宣言による平和の確保がおびやかされてきているからです。この事情は、国内的には人民の生活に重すぎる税となって重荷を加え、婦人子供の辛苦はひとしお深まってきていることを意味します。失業はふえ、生活費は高くなり、生活の安定は社会の全面でくずれかかってきています。
日本の状態は、日本のわたしたちのためばかりでなく、アジアの平和、ひいて世界の平和のために、きわめて警戒されなければならない状態です。日本の中には釈放された有力な戦争協力者たちが暗躍していて、この一年間に人民に対する抑圧とアジアの解放を妨げる仕事がある時はこっそりと、ある時は公然と法律をふりかざして行われてきています。
アジアの姉妹たちよ。わたしたち日本の婦人は、また再び日本という国をアジアの敵としまいと決心していることを信じて下さい。そのために、わたしたち日本の婦人は三つの闘いを同時にたたかわなければならない立場にあります。家庭の中にまだつよく残っている封建性と闘い、人民の民主化をそらそうとする権力と闘いながら、民族を隷属させようとする帝国主義と闘っています。わたしたちにとってこの闘いはむずかしい、そして力のいる仕事です。しかしこの闘いが勇気をもってなしとげられない限り、
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