けられるのならば、それらのあらゆる現実を落着いて自分たちの経てゆく生活史のなかにうけとりつつ、歴史に消耗されず、そこからめいめいの建設を見出してゆかなければならない、そのような今日の時代の鍛錬が今日の若い世代を、小市民らしい自己偸安に成長した前世代人より、立ちまさった客観力も具《そな》わった生活者にするであろうということ以外にはあり得ないと思える。
青年の精神は豚ではない。くわせば何でもくうものではないであろう。青年の精神はどっさり並べられた空壜ではないであろう。注ぎこめば何でも入る、そういうものではないであろう。
[#地付き]〔一九四〇年十一月〕
底本:「宮本百合子全集 第十二巻」新日本出版社
1980(昭和55)年4月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
親本:「宮本百合子全集 第七巻」河出書房
1951(昭和26)年7月発行
初出:「法政大学新聞」
1940(昭和15)年7月号
入力:柴田卓治
校正:松永正敏
2003年2月13日作成
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