ストックホルムのアッピールへは数百万の人々が署名した。五億を越した署名の数のうち資本主義の国としては世界第三位になっている。自分たちが戦争の犠牲であることを自覚して来ているのである。イギリスの母たちは、「わたしたちの息子は大砲の餌食ではない」と書いたプラカードを立てて整列した。
現在、地球のいくところかで戦争行為が行われている。けれども、世界の声は、何を叫んでいるだろうか、平和である。
国連は、いろいろの矛盾に苦しみながら世界平和と戦争回避のために努力しようとしている。わたしたちは、さまざまの偽瞞から国連の人類のための平和の努力を救い出してゆかなければならない。なぜなら、国連に参加している国々の内部にも、第三次世界大戦の口火をつけようとして公然戦争を挑発している人たちがいるのである。もし必要ならば、それらの人々の名を明示することもできる。こんにちの世界で、どこの国の人民に対しても、原子兵器を使ってそこの重要都市を破壊し、住民をみなごろしにしてやるがいいというような暴言をはくものは、あからさまな戦争の火つけ人である。日本のわたしたちが国連を支持するとならば、それは国連の良心を支持し、
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