認めないわけにはゆかない。食糧問題についても、三合配給、お菜をたっぷり、牛乳を子供へ、などと語られているが、現在の配給機構へ実際婦人が入って改善してゆくためには、婦人の公民権が認められなければならないと主張している婦人代議士は一人もいない。山口シヅエという婦人代議士は、公約を果すといってバケツを下げてビラはがししている。代議士の仕事は、そこにはないはずである。東京都が市街の清掃位出来るように努力してゆくことこそ代議士の仕事である。同一労働に同一賃銀を云う婦人代議士もある。しかし、根本をなす憲法改正案に対して定見を示していない婦人代議士が、どうして、それだけの大事業をなしとげられよう。まして、自由党以下共産党以外の政党は、日本の旧体制の支持者であるとき、婦人代議士ばかりが、民主的であることが出来ようか。「女は女で」――投票はそれで集められたろうけれども、政治の実際に当って、例えば五人の自由党婦人代議士が自由党の立場にどれだけの変化を与えられよう。婦人代議士は超党派でということは夢である。三九名の婦人代議士の殆ど全部は名流婦人と云われる人々である。僅かに柄沢とし子(共産)山崎道子(社会)が
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