べき幸福と力をもつ私は小おどりして歌をうたう事が出来る。
「しじまにもだせる、――しおらしきものらよ、
 夜《よ》は――けんこんの悪を包まんがために下る、
 よろこびうたわん夜のために――くすしき夜のために――
 夢をはらみ――夢の如せまり来る夜に我はひたらん
 よろこびつつ――たのしみつつ――ゆめみて、
 しじまにもだせるしおらしきものらよ!
 安らかに眠れ! おだやかに眠れ――
 あけん日までしおらしきものらよ――。我もねむらん
 あけん日まで――しおらしきものらよ――さらば――」

 私は見返りながら魂の住家に□[#「□」に「(一字不明)」の注記]どる。



底本:「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年12月25日初版
   1986(昭和61)年3月20日第5刷
初出:「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年12月25日初版
入力:柴田卓治
校正:土屋隆
2008年9月25日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全2ページ中2ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング