ところですぐ下します。好みによりサラダ菜の葉が多くても少くてもよい訳でしょう。

        そばのカーシャ

 これはお料理の説明と云うよりは私の長年の食べたい想いをのべるわけですが。東京にそばの実の殼をとったまま、粉にしないでまるのままのがあるでしょうか。誰に聞いても知らない様ですが、この丸いままのそばの実を壺に入れて一晩水につけたものをオーブンで焼いて、柔かいけれどぱらっとしたものが出来上ったところへバタを混ぜたり玉葱をバタいためにしたものをまぜたりして食べますと実に軽くて、いい香がしてその味は中々忘れられません。ロシヤの家庭で極く普通につくられて居ります。もしそばの丸のままの実があるものなら一度はやってみたいと思って居ります。読者は日本中にいらっしゃるわけですからもしかそんなそばの実が手に入る事を御存知の方がいらっしゃると思いますので。
[#地付き]〔一九三九年十一月〕



底本:「宮本百合子全集 第十七巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年3月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
初出:「新女苑」
   1939(昭和14)年11月号
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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