れわれすべて、良心と理性あるものの要求でないものはなかった。それだからこそ学生の運動の列伍の周囲には、常に労働者階級をはじめ、あらゆる人々のもっている日本の善意が篝火となって結集して行かずにいかなかったのであると信じます。
支配階級は、すでにこんにち、人民の理性の声にたえ得なくなって来ています。さもないならば、どうして、日本の社会生活のあらゆる場面から、こんな大規模な理性の狩りたてを行う必要があるでしょう。レッド・パージとそれに反対する学生の大量な処分は、全く中世的な方法であり、みせしめのためのはりつけ[#「はりつけ」に傍点]同然です。この演出では、観衆の錯覚がたくみに利用されている。すなわち、警官隊の野蛮な襲撃や、検挙された学生が数百名にのぼることを、さも日本の学生が兇暴なものになってしまいでもしたように世界を偽瞞するための宣伝に使用しています。
われわれを、こんにち、心からいきどおらせているのは、権力機関のすべてを動員して行われているこの「作られた真実」の偽瞞性です。若いエネルギーの鬱積があふれて、彼らの教室からはみだしたとき、大衆的な行動のなかには、「喧嘩両成敗」というべ
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