ことは疑いようもないと思う。だけれども、女がほんとに社会的な力量完備した母である自分を見出すということは、今日誰もが到達している境地だとはいえなかろう。社会が母という名に向って示している敬意と、女がとりも直さず母なのであるという事実に立った母性の保護が、社会の全面にゆきわたっているとはまだいえない実際は、現在女子労務者たちが改善を切望している点が、賃銀関係ではなくて、むしろ作業条件と厚生施設に関するところにある事実に現れている。私たち女性は、そのより高い統一のために小さい善意をも根気よく加えてゆく具体的な熱心がいると思う。中央協力会議に参加する女性代表の活動もそこに根本の焦点が置かれるのだと思う。



底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社
   1979(昭和54)年7月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第九巻」河出書房
   1952(昭和27)年8月発行
初出:不詳
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年5月26日作成
青空文庫作成ファイル:
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