いリンゴも青かったのです。
新しい日本の女らしさは、いま先ず自然であろうとしています。古い型がこわれて新しい型が完成しないうちはいろいろ古い趣味に添わないことも起りましょうが、若い日本の女性よ。どうかあなたがたが生粋の女性であることに自信をもって自然に動き、自然に発言し、自然が聰明であるように考えぶかくあって下さい。女は女以外のものではあり得ません。
女らしさについて、そういう理解をもつことこそ、明日の男らしさ、頼もしい雄々しさであろうと思います。女に対して荒々しく君臨する男は、いつの時代も男の中の男とはいえませんでした。日本は明治のはじめより、軍国主義につつまれていて、封建的な男らしさは、明治になっても軍人としての男らしさによりかえられたままでした。女性を憐れむばかりではなく、半身である女性とともにこそ男の民主的生活への解放があることを知る男らしさを待望いたします。[#地付き]〔一九四六年九月〕
底本:「宮本百合子全集 第十五巻」新日本出版社
1980(昭和55)年5月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
初出:「婦人民主新聞」
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