も私はだまされるとは思っておりません。こういうようなものでありますのに、いろいろな社会の建設、進歩のためには自分の好き嫌いの感情でわれわれは今だまされている。もしだまされていないならあんな政党の立候補者の情勢はどうでしょうか。あんなラジオ放送は耳障りで聴いていられない。聴いている人があるから、私共のなかに遅れたものがあるから、あんな恥かし気のないことを申します。あれはある意味では私達がいわせているのです。自分達は気持の上でどうだ、こうだと筋の通らぬことを考えることによってああいうものを存在させている。だから今度の選挙も、結果によってはまた議会を解散させるかも知れないし、議員の資格の再審査をするというのも、まだ私共の十分準備されていないすきに乗じて、たくさんの反動的な、つまりわれわれをまた不仕合せなものにしてしまう力がいろいろの形で政党の力をもってバックしている。それを世界が見ているからです。だから私共はよく分別のある人間にならなければいけないと思います。いろいろな理窟はわからないでも、自分の生活というものを真面目に考えて、本当に人間が幸福になるためにはどうでなければならないか、そのこと
前へ
次へ
全32ページ中30ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング