見れば「そんな面倒臭いことをいわないでも手加減ですよ」と、おっしゃるような場合が非常にあるのです。そういうことから、「どうも今時の勉強した若い人は理窟ばかりいって、つくったものを見れば何にも別によくできていない」といわれるし、また若い人は「同じやるなら科学的にやってみたいわ、失敗してもいいから試みてみたいわ」という気持がある。そういうところから意見の相違がございます場合に、そこに身分ということから、お嫁さんは姑に従うものなりということがあるのです。それで昔から日本には女の人は親に従い夫に従い老いては子に従うという言葉がありまして、夫に従うとともにお姑に従うという習慣がありますから、家庭のなかで伸び伸びしてみなが相談して明るくやってゆくという気分が阻害されます。つまり人間らしいものが失われて参ります関係が封建的なもののなかには非常に多いのです。皆さんは菊池さんが「忠直卿行状記」というのを昔書かれたのをお読みかも知れませんけれども、封建時代の殿様は絶対に人間扱いではございません。何でも御無理、御尤もなのです。だから昔の殿様の家の仕来りがあるでしょう。こういう風にしてはいけない、こういう風で
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