ブ室などは勿論共通だ。
学校ばかりか、すべての勤労者が、年に一ヵ月ずつ有給休暇をとって休みに行く「休みの家」でも、こういう工合にやられている。
夫婦は一室を貰い、学生でも夫婦ものは、事情の許すかぎり特別な一室を給与されるのだ。
ソヴェト同盟が、勝れた階級の技術家を男から、女から必要とする必要は実につよい。従って、学生も専門技術学校、大学になるとあらゆる年齢を包括している。
三十の夫が法律学生で、妻は二十六歳、薬学専門だというような例はザラなのだ。
若い男と女とが一つ寄宿舎の建物に寝起きするのだから、勿論時にはいろいろの問題がおこることもある。
そういうとき、場合によっては寄宿舎の大衆討論の決議で、事件は決定される。また、幼年時代から学校で、職場で共に働いている今のソヴェト同盟の若い連中は、男女の評価の標準をどこにおくかということを真実にハッキリ自得しはじめている。
レーニンは、性関係の一時混乱した一九一八年時代に、正しい批判と予言とをそのことについて与えた。
「われわれの社会主義的建設の実践とその発展だけが、われわれの性道徳をも正しいものとするだろう。」
一九二七年に高等専門学校女生徒の割合はこうだった。
大学 四四・二 社会・経済 一六・二 芸術 三九・五
工業・機械 七・九 医薬 五一・二
農業 一四・八 教育 五一・三
「五ヵ年計画」は男女技術家の養成に熱中している。特に電気工業、機械、鉱業へ婦人の進出はこの頃ソヴェト同盟の目立った現象だ。
社会主義社会で、つまり男女同一労働に対して同一賃銀を実施し、しかも現実的な母性保護が完全に行われるところでこそ、男女共学が本ものとして行われるのは自明なことだ。
われわれが男女共学についていうときは、必ずその基礎となるプロレタリア文化革命の問題にまでふれなければならないのだ。
(時間がないので、後半はごく大ざっぱな記述となり、遺憾だ。いつかもっと補足したいと思っている。)
[#地から1字上げ]〔一九三二年一月〕
底本:「宮本百合子全集 第三十巻」新日本出版社
1986(昭和61)年3月20日初版発行
初出:「教育」(「教育科学 第四冊」附録)岩波講座、岩波書店
1932(昭和7)年1月15日発行
※女児就学率と共
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