らね、赤坊から一寸育ったような小供はいい子だからねと云われるとくだらない用事をさせられてもよろこぶだろう、それと同じなんだネ」
「そんなもんでしょうか」
「それで御前はこれからどうすると云うんだネ」
「どうするって、どこか変えようかと思ってるんですよ」
「かえるもいいが、あんまり変えると何とか悪いことがおこりやしないかと思うんだけど…………」
「それもそうだと思ってネ、今迷って居るんですよ」
「まさか御前だもの、くだらないもんの手にかかって手をやかれるような事はしまいがね、とにかくよく考えて見ての上さ」
「そりゃネ、もちろん、誰と云って話相手になる人もなし自分で自分をまもってかなくちゃあならないんだから」
「まあよく考えるさ」



底本:「宮本百合子全集 第三十巻」新日本出版社
   1986(昭和61)年3月20日初版発行
※1913(大正2)年6月4日執筆の習作です。
入力:柴田卓治
校正:土屋隆
2008年2月28日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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