を民主化するためには本当に民主的な方針をもった政党を支持しなければなりません。病気で死にたくないならばヤブ医者を頼みません。共産党がきらいな人はたくさんあるでしょう。けれども死ぬか生きるかの場合たのみになるのは腕のたしかな医者です。
 母は子供の命を救うためにあらゆる努力をします。時には医者のおよばない工夫をこらします。婦人が政治的にひくいということは、ただ婦人が社会のくみたてに対し十分自分の知っていること、おもうことを反映させていってよいものだということを知らないだけのことです。今日の婦人代議士の大多数よりも街の主婦達に、工場の若い勤労婦人に、より実際的な日本の民主化の精神がつかまれているのだという自信がその人々にもたれていないだけのことです。
 一年の経験は私達に少しはものをいうことをおぼえさせました。地方選挙からひきつづく選挙を通して、日本の婦人の代表は、第一回の婦人代議士と全くちがった勤労人民層から、民主的政党からだされなければなりません。[#地付き]〔一九四七年三月〕



底本:「宮本百合子全集 第十五巻」新日本出版社
   1980(昭和55)年5月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十二巻」河出書房
   1952(昭和27)年1月発行
初出:「アカハタ」
   1947(昭和22)年3月18、21日号
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年6月4日作成
青空文庫作成ファイル:
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