新しい規則)なども、軍事教練に反対した汎太平洋婦人平和会議の決議に反対の見解を示している人々の意見とてらし合わせてみて始めて、真意が了解されるというものであろう。
 現在われわれが住んでいる社会において、独占されている文化は進歩的な役割をはたしていず、反動的な内容を持ち反動的な目的のために動員されていることは、多言を要しない事実である。然しながら、歴史はまたわれわれに次のようなことをも教えている。
 中国の有名な殷の紂王は自分の気に入らないことをいったり、書いたりした学者を土の中に生理めにし、本を焼きすてた。紂王の焚書として歴史に残されている。紂王はそのことによって自身の滅亡を早めこそすれ、それから逃れることはできなかった。そのことを歴史はわれわれに語っている。
[#地付き]〔一九三四年十月〕



底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社
   1979(昭和54)年7月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第九巻」河出書房
   1952(昭和27)年8月発行
初出:「文化集団」
   1934(昭和9)年10月号
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年5月26日作成
青空文庫作成ファイル:
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