sのために様々の形で動員され一週間に学習する日は一日二日あるかなしの有様であったことを思えば全体の学力低下はさけられない結果であった。
 教育使節団の調査にもとづいて日本の教育制度の中央集権的悪弊――文部省の絶対的支配――を除くために教育権の地方移譲、九年制の無料義務教育の施行、ローマ字の採用、教科書の民主化等の目標が示された。
 軍国主義的教育方針の変更を立証するために文部省はその時までに不適格教員六五〇名を追放した。そしてまず新しい日本歴史教科書の編纂に着手し、教育課程の更新の研究をはじめた。
 戦争中軍事目的のための科学技術者速成のためにさまざまの形で特別科学教育を行っていた。婦人のためにも行われていた。中等学校にも行われていた。この軍国主義的教育は四六年十一月廃止された。
 日本の封建的伝統である官学崇拝の悪風を排除するために私学の独自的教育振興を目標とする日本私学団体総連合会が結成された(四六年十二月)。組織は私立大学連合会三九校、私立専門学校協会一七九校、私立中等学校連合会および私立青年学校連合会一、一五一校、私立初等学校・私立幼稚園総連合二七校によって構成されている。私学
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