にちの社会生活のあらゆる面で、さほど進歩的でない学生にさえも、民主的な民族自主の必要がどのように切実に実感されているかという事実を語っている。
 日本文化を守る会が結成されたこと、このように広汎な全日本にわたって男女学生の自主的文化学問への要求が表明されていること、また各方面に日本の軍国主義とファシズムの再燃にたいしてたたかい、平和の擁護のために働こうとする人々のグループが結成されたことなどは、日本の人民が日本の運命の現実について次第に真面目な自覚をもちはじめたことを物語っている。最近のジャーナリズムにファシズムにたいするたたかいをテーマとした論策が少くないのをみても、甘やかされていない[#「甘やかされていない」に傍点]日本の民主化の現実が諒解されるであろう。
 一九四六年以来文化の各方面に各種の委員会がもたれてきた。これらの委員会は民間人によって組織され、日本の過去の反民主的な文化伝統と統制とを打破する目的を与えられていた。現在でも政府の言論官僚統制として批判されている放送事業法案が委員制をもっているように、委員会のモードはすたれていない。ところがこんど制定される行政施行法によれば
前へ 次へ
全166ページ中164ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング