B世論は当然反対し、ひとまず現在の内閣直属の用紙割当委員会の自主的権限を認めるところまで譲歩させた。しかしここに奇妙なことがある。日本出版協会は、内閣直属の用紙割当委員会ができるとき、出版協会の文化委員会を総動員して反対運動にたった。ところが出版統制のよりすすんだ段階を示すこのたびの用紙割当事務庁創設案に関しては、文化委員会から質問のでるまで自発的説明を与えなかった。またひろく文化界によびかけて民主的出版を守るために、イニシアティブを発揮しようともしなかった。このことは日本出版協会という業者の組織が、その機構の内部に戦時中からの役員を包括していることを我々に思い起させる。日本出版協会が今後民主的出版を守るために果してどのように行動するかは、きびしい監視を必要とする。
三、ラジオの民主化が日本の民主化における重要な課題であることは、すでにのべたとおりである。日本のラジオの民主化のために、一九四六年に、民間有識人をあつめた放送委員会が組織された。しかし日本放送協会は、手段をつくして放送委員会をボイコットしようとし、一九四七年には組合を分裂させることにも成功した。そしてラジオの民主化が、
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