試O日、東大)
米国原子爆弾調査団員P・H・ヘンスホー博士の「科学者の国際的責任」、同S・ブルース博士の「原子核発展に関して国際連合で討議されている問題」(四七年一月九日、東大)
米国学術使節団員のW・V・ハウストン博士の「結晶体の正常振幅」なる講演が八月二十二日、またR・W・ソレンセン博士およびW・D・クーリッジ博士の講演会が八月二十三日、いずれも東大で行われた。
科学技術 日本の科学技術界は現在主として資金と資材の困難から深刻な危機に面している。民間の研究機関は財閥解体と賠償によって全く活動を停止された。この困難を打開するために各種渉外連絡会が設立されている。連合国総司令部との連絡をはかり物質的、精神的な援助を得るために科学渉外連絡会が設立された(四六年六月)。同じ主旨のもとに工業、農業(四六年十月)、医学(四七年五月)がそれぞれ連絡会を組織した。
大学附属研究所長会議(一九四六年十一月)。自然科学者技術者の経歴調査(一九四七年三月GHQの覚書による)等が行われた。文部省では四七年度科学試験研究費一五〇〇万円を適正配分するために科学試験研究協議会を開き、一九三件の重要題目に研究費の配分を決定した。この研究費予算と配分状況はまざまざと今日の日本の科学技術のおかれている窮状を語っている。
発明奨励委員会や研究復興会議の設立などは何れも研究機関と研究者の窮状を救って平和日本の建設のために活動し得る条件をつくり出そうとして着手されたものである。
全日本農業技術者連盟(四七年七月)が結成された。これまでの日本の農業がすべて国立試験場、農林省、農業会などという官僚でおさえられていて農民が自主的に農業技術をたかめ農業科学を向上させてゆくという可能が失われていた。この農業における官僚主義は農業収穫の供出に関する官僚制ともなってあらわれる。この新しい連盟が日本農業のこの弱点を改めてゆくことが出来れば幸である。
アメリカ学術使節団は一九四七年七月日本に来朝した。六名の団員はそれぞれ専門の分野において日本の学界の再建に助言を与えた。
※[#ローマ数字3、1−13−23] 文学 映画・演劇 音楽 舞踊 美術
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1 文学
戦争は日本の現代文学を殺した。軍部は、ほとんどすべての作家を戦争目的のために動員して、強固に民主的立場を保ち戦争反対の見解をもっていると目された作家、思想家を投獄した。
一九四六年一月、ジャーナリズムが戦時色を払拭して再発足をはじめたとき、そこに面白い現象が現われた。編集者たちは、戦争協力者でない作家を発見することに非常に困難した。同時に治安維持法廃止以前のプランにおいては民主的作家の作品を載せる自信もなかった。苦しまぎれの一策として一斉に老大家である永井荷風や正宗白鳥などの作品を載せた。これらの人々の作品は、民主的要素をもっているともいえなかったけれども、軍国的でないことは明瞭であった。
永井荷風は、フランス文学の流れにたち、一九〇〇年代初頭の日本の半封建的な社会的空気に反撥しつつ、彼の抗議をデカダンスと孤独の中にとかしこんでしまった老作家である。正宗白鳥は自然主義作家として出発し、人間の醜悪さを暴露する作品を書きつつ、その人間の醜悪の社会的要因を探求しようとしなかった。彼は対社会的にはニヒリスティックであり、無感興な表情を保ちながら自分個人の生活を楽しむことについては卓抜な老作家である。永井荷風と正宗白鳥の上には、日本に芽生えた近代の精神が、あまり重すぎた半封建的社会の力にむしばまれて、旦那の気むずかしさに定着してしまった悲劇がみられる。ジャーナリズムが途方にくれたようなこの時期を貫いて、日本には民主主義文学運動の強い流れと、それに並行して日本の重くるしい封建の伝統に対して闘おうとする文学の潮流があらわれた。
民主主義文学運動の中心は、新日本文学会であり、機関誌『新日本文学』のほかに四つの文学的刊行物を出している。新日本文学会は日本現代文学の進歩的な卓越した作家を少からずその会員としている。評論家として蔵原惟人そのほか活溌な数人の活動家・作家としての中野重治・徳永直・佐多稲子・宮本百合子・豊島与志雄、詩人では壺井繁治・岡本潤、その他戦後に活動しはじめた若い作家、評論家、詩人の多数がある。一九四七年度の注目すべき民主的作品のほとんど全部は、この会のメムバーである作家・評論家・詩人たちによって生れた。新日本文学会は、専門家のために多方面な研究会をもっているほかに、一年に数度文芸講演会を開き、地方の支部を中心に文学巡回講演も行っている。演劇、音楽のグループなどと共に勤労者の間に、文学のグループもどっさり出来ている。この文学グルー
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