方だけになってかえって来たカフスボタンを紫の小さいきれいな草編み袋にしまって何年も何年も持っていて、これから火にでも追われて逃げるときは其がマスコットと、背負袋に入れている、そんな気持も、書けば、あなたの同感なさることでしょう。語られない生活の編みめの間に、なんとたくさんの色糸が、織りこまれていることでしょう、心づくしというものが、つまりは日々の些事の中にしか表現されないというのは全く本当ね。そういうまめやかな日々のつみ重りの間に、何か突発することが生じたときは、弾力がこもっているからすぐ応急に処置も出来るというわけでしょう。些事にこめられている心、些事で知られる心いきというものは身にこたえるものね、私自身其ではひどく感じたことがあって。何年か前、母が生きていたとき、不自由に暮しているところへ足袋を送って来てくれたのはよいけれど、コハゼがすっかりとれていて、直しようのないのに、母の手で歌をかいてくれていてね、そのときどんなに感じたことでしょう、歌はなくても、コハゼを見てよこしてくれたのだったら、と。そのとき愛情というものについて沁々考えたことでした。
「みれどあかぬかも」は、これこそ歌
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