ところが現れてたのもしく感じ、又いとしいと感じます。そして私たちが一番そのことを明瞭に感じ評価もするのだと感じます。
 では又かきてのつかまったとき細かく。
 これはいい紙で心もちがよいことね。かぜを召さぬように。
  二十四日

 二月二十八日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(代筆 封書)〕

 二十日の御手紙にすっかり返事を書切らない内に二十五日の拝見しました。十三日が腹ペコの絶頂とは何と云うことでしたろう。想像力に限りがあると云うことは、後で事実を知ると痛切に感じます。何んにもお芽出度いことばかりその日に限って考えていると云うのではないけれども、まさかにそう云うことは思いもつきませんでした。それでも方法がついて何よりです。こちらはお医者の証明でパンを半斤もらい、それと引換えにお米がへっています。そちらより早くこちらが無くなると云うことはマア当然でしょう。果物、野菜についてもそうでしたから。パンに付ける何かのジャムがあるでしょうか。私は随分高いリンゴジャムか何かを買った覚えがあるけれども。全くこの頃はお腹をたっぷりさせることが一仕事ね。うちでは二分づきの米に大根や蕪をきざんで入
前へ 次へ
全440ページ中41ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング