な場合が殖えますね、二十七日が金曜で総合訓練。このときは発令と同時に電車もとまり、壕へ待避しなくてはならないから、わたしは引こんでいとうございます。そうすると月曜ね、さぞこむことでしょう。
ふとん衿の白い布送りました。『幻滅』と一緒に。バルザックという作家は面白いのね。関係をとことん迄発展させ書こうとするために、登場する人物はどれも原型的ならざるを得ないのね、そこが現代の人間の生きかたにない現実なので――今の時代の人間は、よくてもわるくてもバルザックの主人公たちのように一途ではないから、もっともっとカメレオン式であるから――きらいな作家という印象を与えるのですね、そのいきさつが今度よくよんでみてはじめてわかりました。だからバルザックの限界というものもよく分ったわ。彼の作品の世界では、利害と権謀とが徹底的に跳梁しなくてはいけないから、人間は、だます人間は飽くまでだまし、だまされる人間はあく迄だまされるという可能が許されなくてはならないわけなのでしょう。そこがディケンズとのちがいね。「クリスマス・カロール」なんて、バルザックはきっと鼻の頭にしわをよせたきり黙っているでしょう。
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