らでもみんなに食べさせたいものと、二、三日がかりで奔走しましたが、休日と重るせいか、どこもかしこも休み。すしやさえありませんでした。
 そこで、たべるものは何もなしとあきらめていたところへ、東北の友達のひとが出京して、珍らしくリンゴ七つその朝もらいました。今のリンゴはまアと歓声が上るのよ。それで何だかお祝いらしくて全くうれしくなりました。薄青いのや真赤なのや。遙々岩手から病気をしていた女のひとが癒ったともって来てくれたのですからおめでたいものなの。
 雨でしたが、しずかなわるくない雨でしたでしょう? 咲と寿とは緑郎のお嫁さんの実家へことわれない招待で午後から出かけ、国と私、むかい合ってのんびりしていて、いろいろ事務所の話、私の借金の話、寿の話、などしました。この頃いろいろ話すのよ、あちらから。
 そして夕刻になったら留守番の良人というものは落付きのわるいものらしくて、急にゴタクタの食堂を片づけようと云い出しました。
「私はまだ働けないわ、やめようよ」
「姉さんは只みていてくれていいんだよ、時々声援してくれる位で」
「ほんと? 何かひっぱり出して、姉さんそれ二階? なんていうんだろう」

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