が初めてわかれたときのような新しい駭きで其を発見し、発見したときはもうすっかり其にとらえられている自分を見出す、その工合が。そしてブランカは経験によってこう判断するのよ。こんなに自然に、ひかれつつ抵抗するというような感じ全くなしに、ひきよせられ捉えられている自分をじかに発見した以上は、もうまがいもなしの本ものだ、と。そこを行くしかない、と。そこを行くということを、作品的に云うと、「伸子」以後をかくということです。断片としてあちこちの角度から試みられてはいましたが。
 永年かきたくて、何だか足の裏にしっかりした地盤が感じられなくてかけなかった伸子の父の最後の前後を一区切りとして先ずかきます。それから、「おもかげ」の部分のかかれていない面、伸子、母、弟、時代と三つのものを、全体のかかわり合いの中でかきます。
 それから書きたいテーマがいくつかあるのよ。凄い景気でしょう。ブランカが、紺絣の筒袖着て、兵児帯しめて、メリケンコのグチャグチャしたの(名もつけ難し)をたべて、財布に五十二銭もって、そして斯くも光彩陸離なのを、どうぞどうぞ扇をあげて下さい。こうやって、私は生きている、からには、私の作品
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