方はよほど以前どこかの本やから出て、今は古本でもあるかしら。いつだったか叢書のように日本の海外漂流記と外人の日本漂流記とが出版されたぎりです。今なんか面白いでしょうのにね。本屋がつぶれたのかもしれません。
おかしいこと。きょうはまだ眠いというのはどうしたわけでしょう。これを書いたらちょいと枕を出して、コロリとなり又眠りましょう、今週は月曜以来きのうまで割合出る用がつづいて疲れたのかしら。
夕立があんまり見事に雄大で、それにうたれすぎたのかしら。露の重さというわけなのかしら。
わたしのもんぺ姿は、丸さはともかくとして好評ですが、御感想いかが? これからはああいう風体のことも珍しくなくなることでしょう。帰りに靴を買いました。サメの皮よ。それで雨に弱いって可笑しいと云ったら曰く「やっぱり皮んなっちまうと駄目ですなア」
九月八日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
九月八日
さすがに八十度を越しても二三度という涼しさになりました。でも湿気のひどいこと。この頃は湿っぽさでやり切れない方です。
先週は疲れが出てひどかったが、今週になってよほどましになり、尿もいくらか澄ん
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