上、紙なしですから、いずれにしろごく内輪なことにしかならないでしょう。しかし冬にでもなってもうすこし体がしっかりしたら一日に時間をきめ仕事をはじめたいと思って居ります。八月末に大東亜文学者大会というのが(第二回)開かれ、支那の婦人作家が一人来たのを吉屋信子の家へよんで、婦人作家たちが「小さいお友達」のように(新聞の表現)歓談したそうで、写真が出て居りました。女の作家も外交官の下っぱの細君が考えたりやったりする位のつき合いかたを学んで来たのは結構かもしれませんが、文学の話は「小さいお友達」では無理だったのでもありましょうか。支那の文学と婦人の作家のことも私は本でわかる範囲だけでも知りたいと思って居ります。そんなことも冬になって疲れが直ってからのたのしみです。小説も。今は全く夏の疲れが出て居て意気地なしのところ。今日あたりからノイザールという燐剤の静脈注射をはじめます。神経にすこし肥料をやって眼の方をよくしたいし、頭のてっぺんの疲労感をとってしまいたくて。これまで、私は余り気分よい頭でありすぎたのかもしれないことね。その爽やかさ、疲れなさを忘れられず、どうしてもそこを標準にして健康をはかる
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