いのに、開成山の方は干上って井戸の底が見えているそうです。
八月九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(伝光茂筆「浜松図屏風」の絵はがき)〕
八月九日、電報を、わざわざどうもありがとうございました。様子はっきりせず段々心配になっている手紙御覧になり打って下すったとありがたく拝見しました。お目にかかったあとで、きっとこのハガキはつくのでしょう。森長さんに五日ごろ電話したのでした。あの人のこと故その日はあなたの熱が下って、他の病気の発熱でないと判明したというようなことはちっとも分らず、只、会ったというので益※[#二の字点、1−2−22]私の心配はかき立てられたのでした。でも本当によかったこと。どうぞどうぞお大切に。
八月十一日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
八月十一日 ひる一寸前、八十八度
ゆうべの夜なかは涼しかったのに、きょうはやはり相当の暑さになりました。お工合はいかがでしょう。熱は下ったでしょうか。
きのうはお目にかかれ大してへばってもいらっしゃらない御様子を見て安心いたしました。一時的のことでしょうね。何しろ、丈夫な人でもよほど健康[#「健康」
前へ
次へ
全440ページ中238ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング