う生活の緊った気風が家にないと、育って行くもののためにはわるいわ。いつもしたい[#「したい」に傍点]ことをだけして[#「して」に傍点]行くというのは。太郎がしたくないことをちっともしないと云って叱るが、それだけ叱ってもというところもあり。でも私はなかなかどっさりのことを学び、(生活法を)一しお自分は勤勉に躾けようと思います。こういう家族の中にいての方法ということも段々わかりました。既に河流をきめて流れて行く川について走ってその流れかたを云々したって仕方がないのですものね。批評も創造的批評でなくてはならないと沁々思います。そのためには喋っているより実行ですから。いつでも、どこでも、同じ、ね。
 国男のかえる前週の金曜日に、出かけた翌日で疲れていたけれど女中さんをつれて出かけて、栗林さんへのものその他お義理の買物をして、富士見町へは 16.00 ほどの大きい、いい盆をとどけました。その時又手紙をかいて、御手数は万々承知ながらお願いしたのだと、改めて云ってやりました。私はいくらか忍耐を失っていて、契約の金全額支払ってかまわないから役にも立たないものを、と思うのよ。性急なかんしゃくめいては居り
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